第138章

低く、聞き慣れた声が、出入口から不意に響いた。隠しもしない嘲りと、氷みたいな怒気をまとって。

その場にいた全員の視線が、いっせいに扉へ吸い寄せられる。

鈴宮京也が、そこに立っていた。

黒いスーツ姿。襟元は少しはだけ、内側のシャツは汗でうっすら濡れている。口元には笑みとも嘲笑ともつかない弧。けれど温度は欠片もなく、凍てつく殺気と、どこか壊れかけた愉悦だけが滲んでいた。

沈村敦司の顔色が、瞬時に変わる。

「お前……」

「俺が何だ?」

鈴宮京也はそのまま個室へ踏み込み、室内の三人を一瞥する。最後に渡部綾香へ視線を落とし、ほんの一瞬だけ深く見据えた。それから沈村敦司へ向き直る。

「沈...

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