第17章

鈴宮深は、彼女の感情の揺れを感じ取ったのだろう。おとなしく綾香の胸に頬を寄せ、小さな腕をそっと腰へ回してきた。

そのとき、ドアの向こうから遠慮がちなノックが響き、室内の静けさを割った。

渡部綾香は眉をひそめ、深をいったん離して口元を拭ってやると、低い声で言った。

「入りなさい」

扉が開いた。頬にくっきりと平手打ちの跡を残した林野佳恵と、その背後に心配そうな顔でおどおどと立つ木村晴美。

佳恵は林野正明に無理やり連れてこられたのが一目でわかった。俯いたまま綾香を見られず、蚊の鳴くような声で謝る。

「綾香お姉さん……ご、ごめんなさい……さっきは……わざとじゃ……もう二度としません……」...

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