第25章

「小山! ちょうどいいところに来た!」

鈴宮クルミは小山の姿を認めるなり、手にしていたドレスを床へ叩きつけた。くしゃり、と布が潰れる音。

そして試着室のほうを指さし、甲高い声でまくし立てる。

「中にいるんでしょ、あのクズ! なんで私のドレスを着てんのよ! ほら見て! ぐちゃぐちゃにしたじゃない!」

小山の視線が床のドレスをなぞり、深い皺と歪んだシルエットを確かめる。次いで、怒りと嫉妬で形を崩したクルミの顔へ。

――ああ、そういうことか。

止められても聞かず、渡部綾香に用意した品に手を出した。着られないとわかった途端、逆上。

小山は即座に完璧な笑みを作る。癇癪持ちの令嬢を宥めるの...

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