第35章
一夜、夢は見なかった。
厚手のカーテンの隙間から朝の光がじわりと滲みはじめた頃、彼女はきっかり目を覚ました。
身体の奥には昨夜の不快な余韻がまだ微かに残っている。けれど意識は澄み切っていて、頭だけがやけに冴えていた。
上体を起こすと、ソファの肘掛けに新品の女性用衣類がきちんと畳まれて置かれているのが目に入る。露出の少ない、ひどく控えめなデザイン。鈴宮京也の指示か、あるいは小山が彼の好みに合わせて用意したのだろう。
手に取ると、肌触りは柔らかく、思いのほか上質だった。
身支度を整え、寝室の扉をそっと開ける。
廊下はがらんとして静かだった。まだ早い時間帯だ。
数歩も進まないうちに、...
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