第39章

その微かな仕草と、平静を装いながらもどこか張りつめた表情が重なり、鈴宮京也の眉がほんのわずかに動いた。

――勘違いしているな。

本来なら、リリスの件をこの場で淡々と告げるつもりだった。だが今、彼女が「職務を果たす」かのような姿勢を見せた瞬間、口にかけた言葉が不意に喉で止まる。

妙な好奇心が、胸の奥でむくりと起き上がった。

どこまでやるつもりだ。

京也はあえて何も言わず、椅子の背にもたれた。沈んだ視線のまま彼女を見据え、艶のある赤檀の天板を、指先で軽く――コツ、と叩く。待つような仕草。

渡部綾香は、その沈黙に混じる値踏みと、どこか露骨な含みのある眼差しを受け取り、ほとんど反射で結論...

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