第49章

その言葉は、まるで頭から氷水をぶちまけられたみたいに、リリスの燃え上がった怒りへ容赦なく浴びせかけられた。

リリスは当然、鈴宮京也がどういう男か知っている。あの男を本気で怒らせたら、どんな結末が待っているかも。

黒谷家が力を持っているのは事実だ。だが、いまが全盛で、なおかつ手段を選ばない鈴宮京也と真正面からぶつかるのは愚策に他ならない。まして、その責任を自分ひとりで背負えるはずもない。

胸が大きく上下し、リリスは渡部綾香を睨みつけた。美しい瞳の奥で渦巻くのは、屈辱と怒り。そして――図星を刺されたことへの、かすかな警戒。

犬二匹のために鈴宮家と決定的に敵対など、したくない。とくに父親と...

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