第57章

鈴宮京也の「謎の婚約者」――その容姿も、纏う空気も。

それは招かれた者たちの想像を、あっさりと上回っていた。

だが、上座と主賓席に座る年長者たちの視線だけは別だ。冷たく、値踏みするように厳しい。

鈴宮京也の父・鈴宮烈が亡くなって以来、大伯の鈴宮智也は家の事業に口を挟もうとしてきた。

しかし京也が警戒を解かず、今日に至るまでまともに手出しできていない。

その智也が渡部綾香を見る目は、まるで品物を査定するようだった。露骨な観察と、隠しもしない薄い嘲り。

腹の探り合いが漂う中、宴が始まる。

料理は繊細で、所作も整っている。

渡部綾香は一人ずつに軽く会釈しながら、家の中枢にいる面々の...

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