第67章

だが、林野正明は世論でも法廷でもつまずいたというのに、手を引くどころか――矛先をさらに露骨に、渡部グループの内部へとねじ込んできた。

あの男は知っているのだ。

会社の運営を実質的に握ってしまえば、株式の名義が渡部綾香の手に残っていようと、利益を自分の懐へ流し込む手段はいくらでもある、と。

渡部修司の死後、会長職は空席となった。

最大株主が一部の職務を代行する建て付けの中、林野正明は長年の根回しと一部の小口株主の支持を盾に、当面の会長代行に収まっていた。

その肩書きを得た瞬間から、彼は容赦なく動き出す。

大なたを振るうような人事の組み替え。

要所の部署の責任者は、表向きは栄転、実...

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