第72章

このところ、渡部綾香と林野正明の綱引きは、ついに白熱の域へ突入していた。

裁判所の審問は立て続けに組まれ、両陣営の弁護士は言葉の刃で斬り結ぶ。綾香もまた、弁護士との打ち合わせに追われ、証拠の整理に奔走し、林野が次々と繰り出してくる新手に対応せざるを得なかった。

同時に彼女は、毎日少しずつ時間を捻出して星衛訓練センターへ通い始める。高強度の格闘訓練で身体には青あざが増えたが、そのぶん、力が少しずつ自分の中に積み上がっていく感覚があった。

鈴宮京也も、どうやら異様に忙しい。朝早く出て、夜遅く帰る。ひどいときは、真夜中にようやく屋敷へ戻ってくることすらあった。村野の件か、あるいは鈴宮家の内側...

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