第92章

「鈴宮さんが、中に……?」

鈴宮クルミの増長した勢いは、針で突かれた風船みたいに、ぷしゅっと一瞬でしぼんだ。

鈴宮京也がここにいる。しかも二階を貸し切り――?

そんなの、聞いてない。

もし京也に、自分が渡部綾香をこんな場所へ連れてきたうえ、罠まで仕掛けようとしていたと知られたら……。

鈴宮クルミはさっと血の気を失い、反射的に後ずさった。

一方、渡部綾香は「鈴宮さんが中にいる」という言葉を耳にした瞬間、心臓が勝手にどくんと跳ねた。

鈴宮京也?

闇サイトに挑発的な文面を残し、ノルをここへ呼び出した相手が――鈴宮京也だというの?

気づかれた? 自分が闇夜の首領ノルだと?

それと...

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