第51章 天大地大、主人が一番

松本絵里の言葉はゆっくりとしていたが、北村裕也を見つめる眼差しには、相談の意図など微塵も感じられなかった。

北村裕也としては当然、弱々しい男を守るなど望むはずもなかった。

宇宙では、彼らのような者たち、それこそ南田桜という女でさえ、その自衛能力は松本絵里の障害を持つ夫よりもはるかに上だろう。

だが、松本絵里の言葉を、北村裕也は無視できなかった。

彼は理解した。坂田和也を守ることは命令なのだと。

北村裕也は笑みを引っ込めた。「はい、承知しました」

吉田拓海がさらりと提案した。「十人というのは多すぎて目立ちませんか?こんなに大勢が一般人の後ろをついて回るのは、たとえ陰から守るとしても...

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