第60章 松本絵里はもう装わないと言った

松本絵里は挑戦的な目で松本七海を見つめていた。堂々と、勝利者の姿勢を少しも隠そうとしなかった。

こんな小さな勝利など、松本絵里にとっては取るに足らないものだった。

坂田和也がどんな選択をしようと、松本絵里のこれからの計画には何の影響もない。

ただ、坂田和也が彼女を守る選択をしたことで、今この瞬間、松本七海は苦しんでいる。

松本七海が苦しむ姿を見て、松本絵里は嬉しくなった。

彼女の得意げな態度には小人物が権力を得たような傲慢さがあったが、そんな彼女の様子を見るほど、松本七海は血を吐きそうなほど腹を立てていた。

坂田光はもともと結婚する気などなかった。今回はお...

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