第109章

悪影響を排除するという点において、山田さんと佐藤国芳の考えはどこか似通っている。だが、家の使用人である山田さんは、佐藤国芳のように私と面と向かって対峙することは決してない。彼女はただ黙々と本分を全うし、行動をもってこの家への忠誠と献身を示している。

私が昼食を終えるまで、山田さんは終始一言も発しなかった。沈黙を守ることこそが、私に心地よく食事をさせる術だと心得ているのだろう。下手に口を開けば、私の不機嫌を招く恐れがあるからだ。山田さんはこの家に雇われた使用人であり、勤勉で素朴、そして誠心誠意この家に尽くしている。思うところはあるのだろうが、主人への敬意と自身の職責から、彼女は沈黙を選んだの...

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