第122章

「ねえ、そこに座られたら着替えられないじゃない」

青木易揚はソファに沈めていた体を捻って自分の足元を見ると、また私の方へ視線を戻し、悪びれもせずに言った。

「俺がここに座ってて何か不都合でも?」

私はカッと顔を熱くし、ドアの方を指差して語気を強める。

「出てってよ。着替えるんだから」

すると青木易揚は、吹き出すように笑った。

「静香、俺たちの付き合いももう二十年以上だぞ? 今更何言ってんだ。お前の左の尻にほくろがあることだって知ってるのによ」

私は慌てて手で口元を覆った。羞恥と怒りが同時にこみ上げ、手近にあった枕をひっつかむと、力任せに青木易揚へと投げつける。

だが...

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