第140章

時計を見ると、まだ午前三時だった。だが、眠気は微塵も訪れない。

余計な思考を断ち切るため、私は何か手を動かすことにした。視界の端に、砕け散った花瓶が映る。それはまるで、私の壊れた愛情と生活そのもののように、静かに床に横たわっていた。深く息を吸い込み、気力を奮い立たせる。まずは家の中を片付けよう。少なくとも、この雑然とした環境の中に、わずかばかりの秩序を取り戻すために。

どうせ当分、出勤の必要もなければ早起きの義務もない。私は家中の隅から隅まで、徹底的に掃除をして回った。

——それが、思わぬ発見に繋がることになる。

リビングのテレビボードの下、そして寝室の壁に掛けられた絵画の隙間。あろ...

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