第19章

冷たい風が吹き抜け、個室にいた時よりも呼吸がずっと楽になった気がする。

助手席に座り、酔いに朦朧として、頭はまだぼんやりしている。

私はまるでまだ酒席にいるような気分で、隣に座っているのは青木易扬だと思い込んでいた。

力なく柔らかい手を振りながら、無意識に呟く。

「青木易扬……お願い、私を雇って。私、真面目に働きますから……」

車が急ブレーキをかけ、私の額がフロントガラスにぶつかった。

「目を開けて、私が誰か見てみろ!」

「痛い……」私は頭をさすりながら、一瞬で目が覚めた。

山本翔一の表情が一瞬で暗くなるのを感じ、私の心臓がきゅっと締め付けられた。

夢の中で言い間違えたこと...

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