第213章

幸いなことに、ディレクターは機転が利く男だった。彼はすぐさま新たな打開策をひねり出すと、背筋を正し、一つ咳払いをしてから努めて冷静な口調で告げた。

「山本伊織と静香を共に番組のオブザーバーとして据え、新規加入の弁護士チームへの指導役を任せるというのはどうだ」

それは、番組側の核心的な利益を守りつつ、山本翔一と山本伊織の顔も立てる――双方に配慮した苦肉の策だった。

「静香。今の提案、どう思う」

山本翔一の声が、鼓膜を震わせた。

私は一瞬、虚を突かれたように動きを止めた。顔を上げ、彼の瞳を真っ直ぐに見つめる。その視線には微かな迷いと疲労が滲んでいたことだろう。私は小さく首を横に振り、感...

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