第216章

彼女はせわしなく両手を動かしながら、口を開いた。

「山本翔一、よく見てみなさいよ。あの二人のこれみよがしな愛し合い方……本当に、あなたにはこれっぽっちも付け入る隙を与えてないわね」

そう言い捨てると、彼女は手際よく山本翔一のネクタイを整え、わざとらしいほど情愛を込めた表情を浮かべた。そして山本翔一の手をぐっと引き寄せ、その耳元で囁く。

「でも、大丈夫。私がいればいいじゃない。彼女があなたの投資を受け入れないならそれでいいわ。その分のお金、全部私に注ぎ込んでくれて構わないのよ」

私が青木易揚の愛を受け入れたことが、山本翔一を撃ち抜く最後の弾丸だったとするなら、山本伊織の今の言葉は、その...

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