第22章

私と青木易扬が交番に着いた時、現場は混乱していた。警察事務所には書類が床に散らばり、パソコンも数台壊されていた。

佐藤美咲はその時、山本翔一の腕の中で身を寄せ、小さく泣いていた。

彼女の目には涙が溢れていて、見ていると私まで胸が痛くなった。

山本翔一は優しく佐藤美咲の背中をさすりながら、目には深い心配の色が浮かんでいた。

「美咲、大丈夫か?怪我はないか?」

私はしゃがみ込んで、佐藤美咲の体を注意深く確認した。

彼女の顔や腕には爪で引っかかれた赤い跡がいくつか残っていた。

私が来たのを見て、山本翔一の表情は恐ろしいほど暗くなった。

「お前が美咲に別荘から出ていけと言ったのか?」...

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