第25章

帰り道で、私と山本翔一は沈黙を守っていた。

この関係に受動的に巻き込まれていることに、深い悲しみを感じた。

心の中で思わずため息をついた。山本翔一、私はどうすればあなたから完全に離れられるのだろう?

車が山本家の別荘に入ると、庭の見慣れた光景を眺めながら、これから佐藤美咲に会ったときにどう切り出そうかと心の中でリハーサルしていた。

この間ずっと山本翔一とぎくしゃくしていたとはいえ、佐藤美咲とは表面上の平和は保っていたので、姉妹愛を演じなければならない。

別荘内は明かりが灯っていたが、恐ろしいほど静かだった。

ドアを開けると、佐藤美咲だけでなく、山本翔一の父親である山本康夫と佐藤美...

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