第29章

山本翔一はこの時、私のことなど構っていられるはずもなく、病院に着くと、私は母の松本陽子に電話をかけた。

さすがは実の母親、私が怪我をしたと聞いて、すぐに病院に駆けつけてくれた。一緒に来たのは親友の平沢雪乃もだった。

「静香、一体何があったの?」

松本陽子は焦りながら尋ねた。

でも一体何が起きたのか、私自身もよく分からなかった。時間が一分一秒と過ぎていく中、私の心は不安と疑問でいっぱいだった。つい先ほどまで、これから始まる三人旅行を楽しみにしていたのに、突然こんなトラブルに見舞われて。特に佐藤美咲は、一瞬前まで話題の人気ミルクティーを楽しみにしていたのに、次の瞬間には悪人に刺されて連れ...

ログインして続きを読む