第305章

恭一の声は小さかった。だが、それは雷鳴のように私の耳元で轟き炸裂した。

私の頭の中は真っ白になり、その場に縫い付けられたように動けなくなる。

「恭一、何て言ったの? 里弥を見失った? どうして里弥を見失ったりしたのよ!」

我に返った私は、半狂乱になって彼に怒鳴りつけた。涙が制御できずに溢れ出し、頬を伝う。

恭一は罪悪感に顔を歪め、地面にめり込むほど深く項垂れている。その声は涙声だった。

「鈴木社長、申し訳ありません。俺、本当に……」

私の絶叫を聞きつけ、残業中だった社員たちが何事かと社長室を覗き込む。松本社長が小走りで入ってくると、恭一のそばに立った。

「一体どうしたんだ?」

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