第31章

やっと夜が明けて、身支度を整えて出かける準備をした。小林一郎から電話がかかってきて、法律事務所に来てほしいとのこと。彼の口調から焦りが感じられたので、まずは会ってみることにした。ついでにこの件について彼の意見も聞いてみたかった。

小林一郎はすでに早くから事務所で私を待っていた。彼は青木易扬より十歳ほど年上だが、歳月は彼に特別優しく、顔に苦労の跡をほとんど残していない。相変わらず意気揚々とした少年のような風貌だった。

私が入ってくるのを見て、小林一郎は立ち上がって迎えに出てきた。

「静香さん、この数日は本当に助かったよ」

小林一郎は言った。

「最近、事務所が受けた案件はどれも大変だ。...

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