第320章

その光景を目にして、私と中村宗祐は素早く視線を交わすと、足早に青木易揚のもとへと歩み寄った。

私は声を潜めて語りかける。

「青木易揚、まずは落ち着いて。お医者様が全力を尽くしてくれているわ。葉田水奈も赤ちゃんも、きっと助かるから」

青木易揚はゆっくりと顔を上げた。その双眸は充血し、瞳の奥には今にも溢れ出しそうな涙が溜まっている。

唇を微かに震わせ、私の姿を見るなり驚愕で言葉を失ったようだ。

中村宗祐も一歩踏み出し、彼を慰めるように言葉を紡ぐ。

「ああ、俺たちがついている。何か手伝えることがあれば遠慮なく言ってくれ」

青木易揚は私たちを見つめ、唇を何度もわななかせていたが、長い沈...

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