第349章

交差点で立ち尽くす私の頬を、雨が絶え間なく伝い落ちる。

それが汗なのか、雨なのか、それとも涙なのか、自分でも区別がつかない。

「まさか、このまま見逃してしまうの……?」

私は思わず独りごちた。

あの背中は、間違いなく青木井東だったはずだ。それなのに、彼は跡形もなく消え失せてしまった。

ふと、交差点にあるキオスクが目に入る。

もしかしたら、店の人が彼の逃げた方向を見ているかもしれない。

そう思うと、私は雨風を突いてキオスクへと駆け出した。

「すみません。今さっき、黒いトレンチコートを着た痩せ型の男性が通りかかりませんでしたか?」

店主は私をじろりと品定めするように見回すと、眉...

ログインして続きを読む