第355章

大前さんが毎週火曜の午後、あるアートギャラリーで絵画を愛で、友人たちと集っていることは知っている。そして、対外的には骨董の品評と称しながら、その実、文化財の密輸に手を染めていることも。

数日後、私は厳選した古朴で雅やかな骨董品を懐に忍ばせ、大前さんが贔屓にしているそのギャラリーへと足を運んだ。

館内にはいくつもの彫刻や観葉植物が配され、柔らかな照明が一枚一枚の名画を優しく照らし出し、静謐かつ芸術的な雰囲気を醸し出している。

抽象画の前に立つ大前さんの姿は、すぐに見つかった。彼はわずかに頭を仰け反らせ、手にワイングラスを持ったまま、一心に画に見入っている。

「大前さん、ご無沙汰しており...

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