第359章

佐藤美咲は目を輝かせ、瞳をくるりと動かすと、わざとらしく青木易揚に流し目を送り、甘ったれた声を出した。

「私ね、青木家の持ってる東区のあの商業用地が気に入っちゃった。立地がすごくいいって聞くし、あそこにショッピングモールなんて建てたら絶対ステキよ。そうしたら私だけの買い物天国ができるじゃない?」

私の心臓がドクリと跳ねた。慌てて青木易揚を見ると、案の定、彼は困惑の色を浮かべている。

あの土地は青木家の将来設計における要だということは私も知っている。一度手放せば、今後の展開は行き詰まるだろう。だが、今の青木家は風前の灯火。大前さんを敵に回す余裕など微塵もない。

青木易揚はしばし逡巡した...

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