第364章

メンタルクリニックのドアをくぐる。受付にいた看護師が、笑顔で「少々お待ちください」と会釈した。

診察室の間を忙しなく行き来する、ボランティア用ベストを着た見覚えのある姿。ファイルを抱えているのは、まさしく山本翔一だった。

青木易揚は彼に気づくと、驚きの色を浮かべて早足で歩み寄る。片手を上げて声をかけた。

「山本翔一! 奇遇だな、こんなところで会うなんて。ここで何をしているんだ?」

声に反応して足を止めた山本翔一は、顔を上げ、相手が青木易揚だと分かると一瞬呆気にとられた。次いで、気まずそうな笑みがその顔に浮かぶ。

「青木易揚か、久しぶりだな。最近ここでボランティアをしてるんだ。何か意...

ログインして続きを読む