第40章

「私のお兄さんは一番のお兄さんよ!お兄さんをそんな風に言わないで……」

美咲ちゃんは山本翔一の腕を両手で引っ張りながら揺らしていた。彼女の肩には怪我の跡がもう完全に見えなくなっていた。この間の回復具合は上々のようだ。

「山本さん、人を迎えに来るのにどうして時間をきちんと見ないんですか?もうこんな時間ですよ。もう少し遅かったら、私たちはもう家に着いていたところです。そのスピードじゃ、ちょっと心もとないですね……」

認めざるを得ないが、青木易扬は皮肉を言うのが上手い。彼のその言葉に、私は山本翔一に代わって無実の罪を着せられたような気分になった。

「静香、今日は家に連れて帰りに来たんだ。素...

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