第441章

「署名するわ」

私は葉田水奈の手を振り払い、覚悟を決めた。ペン先が紙に触れた瞬間、胸の奥で心臓が早鐘を打つ音が、痛いほど鮮明に響いた。

背後から、交代する警官たちのタクティカルブーツが床を擦るカツカツという硬質な音が聞こえてくる。若い警官が声を潜めて囁いた。

「あの女、すげえ度胸だな。身内でもないのによく……」

私が署名を終えると、看護師は手術同意書をひったくるように掴み、慌ただしく救急処置室へと駆け込んでいった。重々しい音を立てて扉が閉まる。その閉ざされた扉は、希望と絶望を分かつ絶対的な障壁のように私たちの前に立ち塞がった。私たちが焦燥に駆られながら待つ扉の向こう、無影灯の下では今...

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