第46章

地下室から出ると、心はまだ恐怖で満たされていた。どこへ行けばいいのか分からない。唯一、心の内を打ち明けられる相手として思い浮かんだのは平沢雪乃だった。この時間ならまだ残業しているはずだと思い、私は急いで東英法律事務所へと向かった。夕暮れの残光が山本家の別荘を金色に縁取り、屋敷全体がより一層静謐に見えた。

タクシーが東英法律事務所のビル前で止まった。普段なら明かりで溢れているはずのオフィスビルが、真っ暗だった。

ドアを押し開けると、冷たい寂しさが私を迎えた。二人の作業員がテーブルを運び出しているところだった。

一体何が起きたの?私は入口に戻り、看板に確かに東英法律事務所と書かれていること...

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