第469章

「これだけですか?」

ペンを握る私の手は宙で硬直しました。ペン先のインクが今にも滴り落ちそうです。遠くでモーターボートのエンジン音が轟き、三つの黒い影が三角陣形を組んで疾走してきます。舳先のサーチライトが岩礁群をなめるように照らし、葉田水奈の顔に揺らめく影を落としました。

防水マーカーを握る私の指は汗でぐっしょりと濡れ、地図の上に素早く座標を描き込んでいきます。

真昼の陽光は目を細めるほど眩しく、ペン先が紙を擦るサラサラという音が波の音と混ざり合い、ひどく心をざわつかせました。葉田水奈は岩に寄りかかりながら双眼鏡を構え、その金属の筒が反射する光は目を刺すようです。

突然、彼女は足元の...

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