第475章

井上刑事が立ち去った後、病室は死に絶えたような静寂に包まれた。

エアコンの室外機が放つモーター音が耳元で無限に増幅される。窓ガラスに映るぼやけた自分の輪郭を見つめていると、太い縄で首を絞められているかのように喉が締め付けられた。背後から聞こえるのは、山本翔一の重苦しい息遣い。彼がわずかに身じろぎするたび、ベッドのスプリングが軋む音を立て、その一つひとつが私の張り詰めた神経を逆撫でする。

それからの日々は、まるでスローモーションのように過ぎていった。毎朝五時、私は機械的に土鍋の取っ手を回す。木杓子が鍋底を擦る音は、決まって貨物船の甲板で引きずられていた鉄の鎖を連想させた。彼の体を拭くとき、...

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