第483章

 正午の陽射しが、裁判所の外に敷き詰められた大理石のタイルを焼け焦げそうなほどに熱している。襟元の影に隠れた山本翔一の喉仏が三度上下に揺れ、やがて彼の手が持ち上がり、風に煽られた私の髪を静かに耳の裏へと掛けた。離婚協議書にサインした時の、あの氷のように冷酷だった仕草が、今は熱を帯びて微かに震えている。互いの距離はわずか腕の半分ほど。吹き荒れる風に散らされ、再び巡り会った二枚の枯葉のように、身を焦がす熱波の中で私たちは探り合っていた。

 山本翔一の吐息が私の睫毛を掠めた瞬間、鼻腔をくすぐったのは、あのお馴染みのシダーウッドの香水。そこに、アスファルトから立ち上る焦げたような匂いが混ざり合って...

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