第48章

この言葉が出た途端、客たちの間で一斉に議論が沸き起こった。川村夕子の目は驚きで大きく見開かれ、丹念に描かれた赤い唇が微かに開いた。何か言いたげだったが、どう切り出せばいいのか分からないようだった。手に持っていたグラスを落としそうになる。

川村夕子と仲の良い太めの女性が眉をひそめ、目には好奇心と探究心が満ちていた。彼女は小声で川村夕子に返した。

「そうよね、静香さんは確かに少し綺麗だけど、際立って美しいわけでもないのに、山本社長がなぜ彼女を選んだのかしら」

もう一人の若い女の子が二人に近づいて言った。

「私、聞いたんだけど、当時は静香さんの方から山本社長を追いかけてたんだって」

「な...

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