第62章

まもなく母の葬儀が執り行われた。その日は小雨が降り、湿っぽい空気が胸を詰まらせる。母の葬儀はできるだけ簡素にしたいと思っていたが、それでも多くの人々が弔問に訪れ、告別式では私が最も目立つ場所に立ち、参列者たちからのお悔やみの言葉を受け続けた。参列者のほとんどは見知らぬ顔だった。彼らが私のためではなく、私の『立場』のために来ていることは分かっていた。そう、今の私は山本奥様であるだけでなく、鈴木グループの社長でもある。私に鈴木グループの社長が務まる実力などないことは、自分が一番よく分かっている。だが、私の背後には山本翔一という男がいる。彼には、私を社長の座に押し上げる力があった。

私が彼の言う...

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