第63章

外の話し声が途絶えたのを確認し、私と山本翔一は前後になって内室を出た。彼の大きな背中を見つめていると、胸の中に苦いものが広がる。告別式会場へ戻ろうとしたその時、青木易揚が私を呼び止めた。山本翔一もその声に気づき、振り返る。青木易揚は山本翔一に視線を向け、忌々しげに睨みつけた。「山本さん、静香と二人きりで話がしたい」

山本翔一は軽く頷くと、迷うことなく告別式会場へと歩き出した。彼が認めた以上、私は青木易揚について人のいない場所へと向かう。すると突然、青木易揚が手を振り上げ、私の頬を打った。「鈴木静香、これはお前の母親の葬式だぞ。一体何をしているんだ?」力はそれほど強くなかったが、心の方が痛か...

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