第68章

別荘に戻ると、私は薬の入った大きな袋をキッチンに置き、山田さんに言い渡した。

「この薬、煎じ終わったらそのまま捨ててちょうだい。私に出す必要はないわ。どうせ持ってこられても、捨てるだけだから」

山田さんは私を見て、何か言いたげな様子だったが、結局何も言わなかった。

一晩中、私は山本翔一と口を利かず、早々に身支度を済ませて客室へ戻った。佐藤美咲は夜遅くまで山本翔一にまとわりついて話し込んでいたが、やがて山本翔一が佐藤美咲を抱きかかえて部屋に戻るのが見えた。直感が告げていた。山本翔一は今夜、私のところへ来るだろうと。しかし、明日から法律事務所に出勤しなければならない私は、彼に会うつもりはな...

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