第6章
朝の光がキッチンの窓からテーブルの上に差し込んでいたが、私の重苦しい気分を明るくすることはできなかった。スマートフォンの銀行アプリに表示された非情な数字を、私はただ見つめていた――残高:34,782円。
一ヶ月。浜辺での一件から、もう一ヶ月が経っていた。その間ずっと、私はダチョウのように現実から目を背け、和人からの連絡を一切無視し続けてきた。
「美玲、貯金もそろそろ底をつくんじゃない?」。沙織は請求書の束をテーブルに置いた。「あの仕事、考えてみる時だと思うわ」
私の指は、コーヒーカップを硬く握りしめた。「無理よ……あの人と働くなんて、危険すぎる」
「金なしになるより危険なの...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章


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