第100章 この腕輪はお前のもの?

時川樹は、自分の耳を疑った。

この宴は「啓文おじさんの実の娘を探す」という名目で開かれている。だが、樹には分かっていた。二十数年前の形見ひとつで人を探し当てるなんて、そう簡単な話じゃない。

本当の狙いは別にある。

この場で存在感を示し、名を売ること。そうして堂々と緒方廷治と張り合い、松本霞澄を巡る勝負に打って出ること。

それからもうひとつ――この機会で松本霞澄との距離を縮めること。彼女を自分の同伴に誘ったのも、その布石のひとつだった。

ところが思惑は外れた。

やりたかったことは何ひとつ形にならず、むしろ「大したことじゃない」と高を括っていた話のほうが、先に動き出してしまったのだ。...

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