第104章 好きから嫌悪へ

時川啓文は眉をわずかに寄せた。

松本希実に露骨な嫌悪を示す若者は、これが初めてではない。たとえ「時川啓文の実の娘かもしれない」という肩書きを背負っていようと、相手は言葉を濁しながらも、保坂昭江や江口惟純のように遠回しに断ってくる。

――なぜだ?

胸の内では疑問が渦巻くのに、表情には出さない。彼はにこやかに二言三言、当たり障りのない挨拶を交わすと、助手の太田旭へ視線を一つ送った。

二分後。

時川啓文は、あまりにもみっともない「騒動」の全貌を知らされることになる。

信じられない、という顔で太田旭を見た。

「……彼女が、幼なじみの妹を陥れた? そのうえ父親が誰かも分からない子どもを、...

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