第112章 彼は、絶対にとても良い伴侶だ

けれど、いざ感情があふれてしまうと、「泣かないで」なんて言葉を聞けば聞くほど、松本霞澄の涙はいっそう激しくこみ上げてきた。

霞澄は篠崎文禾に抱き寄せられるまま、その穏やかで慈しみに満ちた声を聞きながら、頭の中で母の面影を思い描いた。そうしたらもう駄目だった。嗚咽はさらに大きくなっていく。

ふと、以前に自分が松本当主へ叩きつけた言葉が脳裏によみがえる。

この年になれば、もう家族の情なんてどうでもいい――そう言った。

けれど今なら、はっきり分かる。

あれは全部、強がりだったのだと。

自分はこんなにも、血のつながった誰かの存在を求めていた。

たとえ初対面の篠崎文禾であっても、そこに母...

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