第114章 松本霞澄、あんたは本当に道化だ

今回の親子鑑定を担当したのも、前回と同じ中年の男だった。だが、彼は以前のように余裕綽々というわけではない。表情も仕草も、どこか落ち着きがなく――焦りと後ろめたさが滲んでいた。

もっとも、皆の関心は親子鑑定書に釘づけで、そんな異変に気づく者はいない。

二通の鑑定書は、まず時川啓文の手に渡った。

彼は淡々と目を通す。顔色ひとつ変えず、周囲には結果がまるで読めない。

松本希実は緊張で今にも崩れ落ちそうだった。松本当主と夏目乙美に支えられていなければ、足がもつれてその場にへたり込んでいただろう。

それに比べて松本霞澄は、ずっと落ち着いて見えた。衆目の前で行われた鑑定の結果など、そう簡単に捏...

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