第119章 私に謝ってくれよ

緒方廷治が松本霞澄の吐くところを見るのは、もうこれが初めてではなかった。彼の記憶では、彼女はもともとこんなふうではなかったはずだ。

もちろん、松本霞澄が本当のことを打ち明けるはずもない。さらりと、

「最近、胃腸の調子が悪くて。たぶん胃炎です」

そう言うだけ。

その先どう受け答えするかまで、彼女は頭の中で用意していた。けれど意外にも、緒方廷治は深く追及してこなかった。ただ一本の水を差し出してくる。いつの間に買っていたのかも分からない。

松本霞澄はそれを受け取ると、半分近く使って丁寧に口をすすいだ。ようやく少しだけさっぱりして、それからまた緒方廷治のあとについて車に乗り込む。

こんな...

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