第122章 囚われた宿命

松本霞澄だって馬鹿じゃない。もちろん本当のことなど言うはずもなく、首を横に振った。

「……別に、何でもない」

言い終えるより早く、緒方廷治が身をかがめてくる。

今度は、さっきみたいに息が続かなくなるほどの深いキスじゃない。――「ちゅっ」と、わざとらしいほど大きな音を立てて一度だけ。

それでも十分、頬が熱くなる。心臓が跳ねる。

霞澄は口元を押さえて睨みつけたが、彼は楽しそうに笑い、くるりと背を向けて出ていこうとした。

ドアの前まで来たところで、緒方廷治がふっと足を止める。振り返り、淡々と言った。

「お前が勝手に出ていくのは許さない。分かってるな?」

いったん落ち着きかけた胸が、...

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