第124章 彼は本気ではない

松本霞澄は慌てて首を横に振り、現実味のない妄想を頭から追い払うと、空気を読んで言った。

「緒方社長も、どうぞ」

緒方廷治は目の前のノートパソコンから視線も上げず、気のない声で返す。

「全部お前の好きなやつだろ。俺が食ってどうすんだ」

松本霞澄はカチンときた。放っておきたい。でも、あとで面倒を起こされるのも嫌だ。仕方なく言い直す。

「じゃあ、緒方社長の好きなもの、追加で頼みましょうか」

それでも満足しない男は、彼女の前に並ぶ箱をちらりと見て訊いた。

「それ、全部食えるのか?」

松本霞澄は考えるまでもなく首を振る。

明らかに二人分だ。自分ひとりで食べ切れるわけがない。

緒方廷...

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