第134章 逃走を手伝ってやる

この問いを口にした瞬間、松本霞澄の胸はどくどくと鳴り続けた。

緒方廷治が何かに気づいたのではないか――そう思うだけで、喉の奥が冷たくなる。ここ三年の彼は、昔よりずっと狂っていて、歪んでいて、いつ何をしでかしてもおかしくない。

緒方廷治の視線が、ベッドの上に置かれたドレスへ落ちた。

霞澄から見れば、まるで彼女の枕を品定めしているみたいで、背中に冷や汗がつうっと流れる。

「霞澄。この服、もう着たのか」

そのとき緒方廷治が口を開いた。吐息がわずかに乱れている。欲に触れたときの、あの息づかいに似ていた。

霞澄は首をかしげた。けれど本当のことなど言えるはずもない。咄嗟に、適当な言い訳で誤魔...

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