第137章 この勝負の敗者

話し終えるや否や、新谷明珠は航空券の束を取り出し、松本霞澄の目の前でひらひらと揺らしてみせた。やけに思いやり深い口ぶりで言う。

「もし他に用事があるなら、出発を何日か延ばしてもいいのよ。でもね、保坂おばさんから聞いたんだけど……あなたを連れ出したとき、あの執事に気づかれたらしいの。いま戻ったら、廷治はきっと監視を強める。次に外へ出るのは……相当難しくなると思うわ」

松本霞澄は、その言葉に押し切られた。手にしているものをもう一度見つめ、改めて新谷明珠へ深々と頭を下げる。

「新谷嬢……ありがとうございます。あなたのご多幸をお祈りします」

新谷明珠は唇の端をわずかに持ち上げた。

「松本嬢...

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