第148章 今、松本霞澄のことについて話そう

「廷治さん、どこへ行くの?」

緒方廷治が車を降りようとした瞬間、江口惟純は素早く腕をつかんで引き止めた。

緒方廷治は何も言わない。だが、怒気を孕んだ険しい表情だけで、胸の内は十分に伝わってくる。

江口惟純は慌てて言葉を重ねた。

「ちょっと待って。お前、最近ほんと短気すぎるだろ。俺がさっき言ったのは、新谷明珠に乗り込んで清算しろって意味じゃないんだよ!」

そこでいったん言葉を切り、緒方廷治の反応をうかがう。露骨な拒絶がないのを確かめてから、さらに続けた。

「世の中にはさ、強く出れば出るほど口を閉ざすタイプがいる。特に新谷明珠みたいに、お前に惚れ込んでる女はそうだ。お前が怒鳴れば怒鳴...

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