第15章 この子を産まないと決めたの?

緒方廷治は、ハンドルを指が白くなるほど握り締めていた。

彼は目がいい。松本霞澄の笑顔が、はっきり見えてしまう。

さっき自分の前で見せていた顔とは――まるで別人だった。

江口惟純の次は、あの男。まだこちらが終わりを認めてもいないのに、先に次の相手を確保するつもりか?

……ふざけるな。夢を見るのも大概にしろ。

緒方廷治は迷いもなく助手の加賀言へ電話をかけ、長々と指示を飛ばした。

松本家では――。

松本希実が、すでに十数個の骨董の花瓶を叩き割っていた。傍らの松本当主も、最初は娘が可哀想だと思っていたが、途中からは花瓶のほうが可哀想になっていた。

「まだ騒ぐ気か。まだ暴れる顔が...

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